不動産購入の中でも注文住宅は「会社との相性」が満足度の決め手といっても過言ではありません。
会社とは、家を建てる人との窓口になる会社です。具体的にはハウスメーカーや工務店になります。とはいっても、注文住宅は一生に一回あるかないかの大きな買い物です。注文住宅を初めて購入する人が「いい会社」を見抜くことは難しいことでしょう。
今回は、注文住宅で不動産購入を考えたら知っておきたい「いい会社の見抜き方」をお話しします。
ネットの口コミを鵜呑みにしない
注文住宅は、ハウスメーカーや工務店に依頼をして建てることになります。
テレビコマーシャルでよく聞く住宅会社の多くはハウスメーカーです。
工務店は、ハウスメーカーよりも規模が小さく地元密着型である傾向があります。
いずれにしても、いくつかの会社をピックアップして自分の希望を叶えてくれる会社を見つけ出すことが注文住宅の第一歩になるのです。そのために必要なことが「資料と情報収集」です。
昔は注文住宅専門雑誌がたくさんあり、巻末についているハガキから資料請求することが一般的でした。最近はインターネットを使った情報収集がほとんどです。インターネットで「注文住宅」と検索するとたくさんのハウスメーカー名や工務店名がヒットします。
口コミは、実際に注文住宅を建てた経験者の生の声を知ることができます。ただし注意点があります。口コミのすべてが、本当に注文住宅を建てた経験者によるものとは限りません。中には嫌がらせに適当な書き込みをしている人がいるかもしれません。また、ハウスメーカーの口コミの中にはハウスメーカーに対して不満をもっている下請け会社による書きこみが混ざっている可能性もあるのです。
ネットの口コミを参考にするときには、鵜呑みにするのではなく「参考」としてみる冷静さが必要です。
「土地はある? 」「予算は? 」と真っ先に聞かれたら要注意
会社の候補を決めたら実際に会って相談をします。
会社の営業担当者と話を始めたとき、真っ先に「土地はすでにお持ちですか」「予算はいくらですか」と聞いてきたら要注意です。
なぜならば、その会社は「客のためにいい家を建てたい」という思いよりも「早く契約をしたい」という思いの方が強いからです。
営業担当者は「土地はこれから探します」や「予算もまだわかりません」という人よりも「土地はあります」「予算は3,000万円です」と答えた人の方がより早く話を進めて「契約がとりやすい」と考えます。注文住宅は、会社と打ち合わせを何度も重ねながら一緒に家をつくります。
客の希望を聞く前に土地の有無や予算を質問する会社は、注文住宅を一緒につくる相棒には向いていないのではないでしょうか。
OB訪問を嫌がる会社や積極的すぎる会社は誠意に問題あり
会社の良し悪しを判断するとき、実際に過去に建てた家を見学したり、住民に話を聞いたりするといいでしょう。会社のホームページにはきれいな写真や言葉ばかりが並んでいます。実際に自分の目と耳でチェックすることはとても大切なことです。
過去に建てた家に住んでいる住民に話を聞くことをOB訪問といいます。OB訪問を嫌がる会社は、自分の建てた家に自信がないということです。OBと会ったときにマイナスのコメントをされる可能性があるため嫌がるのです。一方で、やたらとOB訪問を進める会社もあります。
その場合は、OBと会社の間ですでに話し合いができている可能性があります。OBによっては報酬をもらって「いいことばかり」を話すこともあります。
OB訪問や過去に建てた家の見学はできるだけ多く行い、信ぴょう性のある情報を自分でピックアップするようにしましょう。
お客様からの要望にプロの解決方法で答えられるか
注文住宅の醍醐味は「自分の希望を盛り込めること」です。
打ち合わせの時から遠慮なく自分の希望は伝えましょう。もしも、自分の希望を伝えたときに「無理です」と一蹴するようならば、その会社はプロとは言えないのではないでしょうか。
注文住宅を希望する人は、建売り住宅では満足できない理由があります。例えば、せまい敷地の注文住宅で「お風呂は広い方がいい」と希望を伝えたとき「この敷地では無理です」と答えるのではなく、なぜ広いお風呂を希望するのかを聞くべきです。
「いずれ介護をする予定だから介護しやすい広さが欲しい」という理由かもしれません。
プロならば、せまくても介護しやすいお風呂を提案したり、場合によっては間取りを変更したりしてお風呂を広くするプランを提案できるはずです。
「とりあえず」で進める会社はやめたほうがいい
中古で不動産を購入するときには「売買契約書」で売買取引をします。
注文住宅は「工事請負契約」を結びことで工事が始まります。
工事請負契約は、売買契約と違い完成した実物をみる前に結ぶことになります。
そのため、会社によって内容が少しずつ違うことがあるのです。
確認するポイントはいくつかあります。
中でも支払い条件は必ず確認しましょう。
支払い条件とは、お金を払うタイミングです。支払い条件があまりにも早い場合は「さっさとお金をもらっておこう」という考えが垣間見えます。また家の引き渡し日を「とりあえず」で記入する会社はやめたほうがいいでしょう。引き渡し日は、万が一引き渡しが遅れた場合、遅延損害金を計算する基準日になります。
「吉日」と記入するような会社はやめたほうがいいでしょう。
おわりに
注文住宅は一生に一回あるかないかの大きな買い物です。
建売り住宅や中古物件のように売買だけで終わる話ではないため「わからないこと」がたくさんあります。いい会社は「わからないこと」に真摯に答えてくれる会社です。
引き渡し日に「この会社にしてよかった」と思えるように自分と相性のいい「いい会社」を見抜きましょう。
【執筆・監修】
RISOREAL(リソリアル)の創業者兼CEO 松下 尚士。 工務店、不動産仲介会社、設計事務所を経て独立。 トラブル、優良な取引を目指し日々奮闘中。 これまで不動産エージェントとし、600件以上、請負契約・施工会社の紹介として300件以上の実績をもつ。 現在はInstagram・TikTokを毎日更新中。
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