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  • 松下 尚士

【売り手・買い手・営業マンの3者視点】不動産取引における交渉術を解説

不動産取引の交渉術や交渉テクニック






不動産取引に登場するプレイヤーは売り手と買い手、そして営業マンです。それぞれが別々の利害を持っています。

  • 売り手→少しでも高く売りたい

  • 買い手→少しでも安く買いたい

  • 営業マン→早く交渉を成立させたい

自分がいずれかのプレイヤーである時に他のプレイヤーの希望は自分のものと異なることを意識しておきましょう。

その上で自分の目的を達成するために必要なことはなんでしょうか。プレイヤー別に不動産取引の交渉テクニックを解説します。


物件を売りたい

不動産物件の売り手である場合に売却価格を最大限高めるためにできることを解説します。

ちなみに不動産物件を売るときに不動産仲介会社に依頼する場合やマッチングサービスに登録する場合などがあるかと思います。売却のプロセスによってはそのままノウハウを応用できないことがありますのでご注意下さい。


所有している物件を知る

不動産営業マンや買い手との交渉に入る前に、保有している物件と地域について知っておく必要があります。

例えば、不動産営業マンが「お客様がお持ちの物件の条件だと価格を下げたほうがよろしいかと思います」と言ったとしましょう。それは本当でしょうか。

保有している物件の相場は事前に調べておかないと分かりません。

事前に知識があるだけで営業マンから「この人は不動産取引の知識がある人」だと思ってもらえます。その後の交渉で有利に立つこともできるでしょう。

もちろん目の前の営業マンが本当のことを言っているかどうかを判断する材料にもなります。


不動産価格の相場を知っておく

不動産仲介会社に連絡するときには希望価格を設定するための不動産の評価を受けていることでしょう。

しかし、まだ確信が持てず、セカンドオピニオンが必要であれば、さらに査定を受けるべきでしょう。査定価格はオファーを受け入れる、または拒否する、さらには交渉するための材料として使うことができます。

不動産業者は、不動産市場、地域、最近の販売価格についてよく理解しているはずです。同じ地域で販売された同等の物件の詳細については不動産会社に聞けば教えてくれます。

複数の不動産業者に査定してもらい、全員が同じ水準の価格に達した場合は、提案された価格にできるだけ近い金額を提示することを目指しましょう。当初想定していた妥当な価格であることに満足したら、買い手から提示されたオファーが妥当か、それとももっと増やすべきかを判断できます。


買い手の準備状況を知っておく

売却に出している不動産に買い手が興味を示した時に買い手の準備状況を理解しておくことも重要です。

もし可能ならば、不動産仲介会社を通じて買い手の状況について聞き、実際にどの程度の準備ができているかを確認しましょう。以下が質問例です。

  • 彼らが物件を購入するのは初めてですか?

  • 彼らも家を売っているのですか?

  • 彼らは現金で家を買う予定ですか、または住宅ローンが必要ですか?

  • 住宅ローンの申請手続きはどの程度進んでいますか?

買い手の準備ができているほど、より信頼できると考えていいでしょう。例えば住宅ローン

の申請手続きを開始している場合には物件の購入についてほとんど決めていると見ることができます。このような場合には少し売却価格を上げても交渉に応じるかもしれません。

また、買い手も同様に家を売っているのであれば、どの程度まで売却のプロセスまで進んでいるかを知ることは非常に有益です。買い手の物件が売れれば、新しい物件を購入することについて少し焦りが生じるでしょう。


不動産の営業マンからフィードバックを受け取る

買い手との交渉が終わったら不動産の営業マンにフィードバックを求めましょう。

両手の取引であっても片手であっても聞くことに問題はありません。不動産の営業マンであれば、希望価格で売却するために何が必要か、提示された価格を買い手が提供できるかについてアドバイスをくれるでしょう。

さらに不動産物件について興味を持っている他の買い手がいるのかについて聞いてみてもいいでしょう。もし他に買い手が見つからないようであれば、既に交渉した買い手との交渉を優先することになります。特に物件をできるだけ早く売りたい場合や売却に自信がない場合には交渉した買い手を優先すべきです。


オマケをつける

より良い売却交渉を求めている時に思い切って「オマケ」をつけることを検討してみましょう。オマケが買い手にとって価値のあるものであれば、買い手は喜んで売却価格を上げてくれるかもしれません。例えば、買い手が家具や特定の建具に興味を示した場合に売却する物件に含めることを申し出ることができます。

もちろん、引っ越しで一緒に持って行きたいものは含めないようにしましょう。しかし、インターネット上のフリーマーケットに出したり、断捨離で捨てようと思っていたものがあれば、取引材料として使って説得してはどうでしょう。特に、初めて家を買う人は、引っ越し経験のある人に比べて、必要なものを事前に揃えないこともあるので、説得力があります。


リフォームや修理を申し出る

物件を売りに出している場合、すでにリフォームや修理をして、物件の価値を上げる取組をしているかもしれません。しかし、買い手が内見に来た時に売り手が気づかない欠陥を発見するかもしれません。

このような場合に買い手が気になる箇所のリフォームや修理を申し出ることができます。逆に売り手側で修理したくない場合は、買い手が将来に修理するための費用を差し引いて、より低い売却価格を受け入れなければならない可能性が高くなります。

ただし、買い手の中にはリフォームや修理について、自分の裁量で行いたい人もいます。自分でリフォームすることを見越して、低い売却価格を提示することもあるので、常にリフォームや修理を申し出ることが正解とは言えません。


値切り交渉に準備しておく

物件を売りに出している時に、もともとの提示価格をはるかに下回る価格を提案された時にどのような反応をするでしょうか。おそらく買い手の提示した価格を受け入れたいとは思わないでしょう。

しかし、たいていの場合、買い手は売却価格について交渉して、価格を下げるようにお願いしてくることを念頭に置いておきましょう。もちろん売り手側もそれを承知で、本命の売却価格に5〜10%程度価格を追加して、価格を提示することになると思いますが、価格の設定については不動産会社のアドバイスを受けておきましょう。

実際の不動産取引の交渉において、多くの売り手は売却価格を高く設定しすぎたことを自覚しています。もちろん物件を早く売却したい場合に相応の価格を設定していた場合などは除きます。高く設定しすぎたことを自覚している売り手は買い手の交渉に応じて、より低い提示価格に応じる傾向があります。

このことを念頭に置いて、交渉の際には柔軟かつ現実的に対応する必要があります。買い手が売り手の提示した価格に満足しない時に条件を再度修正して購入を打診することがあります。これをカウンター・オファーといいますが、この時に物件の価値を大きく下回る売却価格を提示する必要はありません。値下げは避けられませんが、交渉中は自分の物件の市場価値を忘れないようにしましょう。

物件を売る際のカウンターオファーの出し方のコツは以下のとおりです。

  • 不動産会社に相談し、買い手の提案に対する物件の価値について検討する

  • 売却希望額を設定し、それに向かって努力する

  • 将来に修繕費が必要になる可能性がある場合は、提示された金額と比較する

  • 地域の住宅市場と相場を確認する

  • 感情に流されない

特に最後の「感情に流されない」は意外と大事です。交渉が面倒に感じて、「さっさと終わらせてしまいたい」とか「買い手に申し訳ない」と思って、大幅に売却価格を下げる必要はありません。


物件を買いたい

あなたが買い手として、物件をより安く購入するために必要な交渉テクニックや事前準備について解説します。

売り手の売却理由を知っておく

事前に売り手について知っているほど、より効果的に交渉することができます。例えば、売り手が新居を購入するために引っ越しをする場合、値引きを要求することで、より低い売却価格を得ることができるかもしれません。売り手はおそらくできるだけ早く新しい家に引っ越したいと思っているでしょう。


感情に訴える

狙っている物件の人気が高く、複数の買い手がいる場合に効果的な手法です。長年住んだ家を売却することは売り手にとって辛いものであり、売却の時に感情的になってしまうことがあります。売り手なら誰もが自分の家に思い出があって、可能であれば自分の家を大切に使ってくれる人に売りたいと思うものです。

この時に購入の提案と一緒に個人的な手紙を渡すことを検討しましょう。売り手の物件が気に入った理由や好きな機能や特徴、家をどのように使う予定か、などを詳しく書き入れます。例えば、あなたがこれから生まれてくる家族とのマイホームとして、家を使いたいと考えていることを売り手が知っていれば、売り手はより積極的に協力してくれるかもしれません。不動産取引というと、価格の交渉に目が行きがちですが、それだけではありません。より高い売却価格を提示することができなくても、このような個人的な手紙が効果を発揮することがあります。


特定の物件に固執しない

売り手の中にはいつまでも売却価格に納得しない人もいます。理由はさまざまですが、買い手の候補がたくさんいたり、売却する物件に強い思い入れがある場合があります。このような状況では、入札合戦に勝つために、当初の予算を投げ打って、自分が出せる以上の金額を提示したくなることがあります。

しかし、これは賢明な判断ではありません。不動産購入のプロセスにおいて、時には購入を諦める必要があることを想定しておきましょう。複数の物件の内見に行って、他の物件がないか不動産会社に聞いてみるなどして特定の家にあまりにも固執しないようにしよう。このような心持ちでいるだけでより効果的に交渉し、予算内で理想的な家に出会うことができます。


不動産の営業マン

あなたが不動産会社の営業マンである場合に必要な交渉テクニックをご紹介します。営業マンであれば、買い手と売り手双方の利害を調整しながら、納得のいく結論に導くことが大切です。

交渉を成立に導くために必要なテクニックについて見ていきましょう。


自分から会話を始めない

ほとんどすべての業界において最も一般的な交渉戦術は、最初に数字を挙げないことです。最初に数字を言ってしまうとこちらのボーダーラインを相手に教えてしまうことになるからです。

しかし、不動産業界ではこれは当てはまりません。売り手側の営業マンであれば、買い手が希望する購入価格を知っておかないといけません。反対に買い手側であれば、売り手が希望する売却価格が必要です。

したがって、交渉のプロセスでまずすべきことは、相手に話をさせることです。相手がどの程度本気なのか、そしてどの程度説得すれば気が変わるのかを知る必要があります。


不測の事態に備えておく

アメリカの不動産業界では、不測の事態、つまり代替案を持っていない不動産取引を「人質交渉」と呼びます。つまり、不動産取引において「代替案なしの交渉はするな」という意味です。

もし不動産を探している買い手に提案をするときには本命の提案の他に複数の物件を持っておく必要があります。売り手と売却交渉をしている時には複数の買い手からのオファーを用意しておきます。

不動産取引の交渉は第三者の利益を代表しているので、非常にタフな交渉になります。売り手側でも買い手側でもより多くの選択肢を提示することで交渉がスムーズに進みます。もし売り手や買い手が交渉に乗り気でない場合には代理人としての働きが十分でない可能性があります。


感情に訴える

不動産投資でも引っ越しのためであっても家を売るという行為は経済的な行為であると同時に感情的な行為です。売り手側であっても買い手側であってもそれは変わりません。

買い手は最初に希望した価格を超える売却価格であっても買い手にとっての「夢の家」であれば、喜んで購入することがあります。

不動産取引は単なる金融取引ではないのです。買い手の希望価格は一度決めたら決して動かないものではなく、感情によって変わります。営業マンは常に関係者全員と話し合い、両者が納得して取引に臨めるかどうかに集中すべきです。時には営業マンが書いた直筆の手紙に心が揺れ動いて、購入に踏み切る方もいます。


交渉は対面で行う

テクノロジーの発達によってビデオ会議で済ませようとする人は買い手・売り手問わず一定数います。特に最近はコロナの影響で営業マンと対面で交渉することを良しとしない人もいます。

しかし、不動産取引の交渉はテキストベースでは決してうまくいきません。不動産取引は、対面で交渉することが重要です。どうしても対面が難しい場合には少なくとも電話で離しましょう。テキストベースだと、たとえ良い取引であっても、相手がいろいろ考えてしまい、二の足を踏んでしまいます。

対面での交渉では、相手のジェスチャーや表情から、より多くのことを読み取ることができます。その場の雰囲気に応じて臨機応変に対応することもできます。


常に営業スキル習得する

不動産営業はあらゆる営業職の中でも最もタフな交渉だと言われています。しかし、すべての不動産営業マンが営業や交渉のプロであるわけではありません。

営業スキルや交渉スキルは常に学び、アップデートすることが必要です。例えば、営業のセミナーやレッスンなどに通って交渉術を学んでもいいでしょう。このような教室に通うことに違和感を感じるかもしれませんが、アメリカでは多くの不動産エージェントが営業スキル習得のために教室に通っています。


まとめ

誰にとっても不動産取引の価格交渉は気が重くなるものです。交渉相手は自分とは異なる希望を抱いているので、交渉の場で有利に展開する必要があります。

しかし、事前の準備と少しの交渉テクニックを知っておくだけで、交渉を有利に進めることができます。

また、相手がどのようなシナリオを描いているのかを知るために他のプレイヤーの交渉テクニックについても理解しておきましょう。